「白虎野の娘」平沢進

平沢進

この名前を知っている人はこの読者の中にいるのでしょうか。やはり、この方を語らずにはいられません。平沢進との出会いについては省略させていただきますが文章からひしひしと感じていただけらうれしいです。

平沢進の作品で何を取り上げようか迷ったわけです。その結果、自分の一番好きな「白虎野の娘」をやはり最初に書きたいと思いました。白虎野の娘は映画パプリカの主題歌であり、平沢進の代表作の一つといってもいいでしょう。馬骨の皆さんからは、にわかではないのかと疑われそうですが、これでも全アルバムを苦学生ながら買いました。おそらく総額10万ほどでしょう。

まず、白虎野シリーズには白虎野の娘以外にも、白虎野や媒介野などいろいろありますが、自分はやはり白虎野の娘が一番好きです。

この曲は何の音声かはわかりませんが、電子音でイントロを迎えます。そして軽快な打音とともにAメロに向かっていきます。何とも言い難いメロディーが連なり、さび前に暗転。そのまま壮大なさびへという構成になっています。

この曲のすごいところは裏拍子であるというところです。一番聞きやすい打音が裏にとってあり、表でたたかれる打音は聞こえないです。他のアーティストの作品でも裏拍子をとり続ける作品がありますがここまではっきりと違和感なく入れるのは難しいことでしょう。裏拍子が際立っている理由としては、さび前の暗転にて、打音を聞こえやすくし、タタタンタタという聞こえの良いリズムを入れることで裏拍子が違和感なく曲全体を包み込んでいると考えます。

バックの人の声も重なり、つくりはシンプルだが分厚いというパラドックスのような作品で耳が潤う感触です。この方にしか作れない作品であることに違いはありません。